高尚ぶる、

小説も書いてるから読んでね ピース

苦虫

 

 

 

記憶まで遠くなって、そのときの温度をわすれること。それがどうしようもなく、寂しくなる。たぶん、わたしが忘れたら誰も覚えていなくなる思い出。忘れたことは、映画と同じで ぜんぶ触れないフィクションになるってこと。きみが触れるところに居ないわたしと、私が触れるところに居ないきみ。人生は、つめたくあたたかく。実体があるものは、ぜんぶ手放したこと。入水角をずっとさがしている。

 


世界はぜんぶ地続きで。ひとって変わらないものだと思っている。過去といまは切り離せないし。その先も。でも、違うらしい。母親に「あんたは、わるいだけのひとが居るってことをまだ分かってない。ひとは変わるよ」と言われる。ひとは、変わる。過去は切り離せないのに。切り離したつもりで、歩いてゆけるひとがいるらしい。今日はいちにち雨だった。ベランダに出て、入り込んでくるみずを見つめながら深呼吸をした。ここ最近、おなじことばかりを考えている。藻掻くのは、たぶんまだ分かっていないからだ。結局わたしは甘くて、だからこうやってひとりになってしまう。なんにも、分かってなかったのかも。もしも過去に戻れたら。もっと上手くやれるだろうか。世界がぜんぶ、せめてわたしを取り巻くこの小さな世界だけでも。手のひらで包み込めたら良いのに。さみしいのは、深いブルー。きみのことかんがえたって、べつに。会いに来てなんてくれない。

 


分からんから。ひとのことなんか。自分のことなんか。分からんから。だから、黙ってる。だまって、だまって。ずっとくちをつぐんでいたら、いつか。漬物石みたいになれる気がして。漬物石になれたら、きみの家のうえに落ちて、屋根に穴を開ける。そこから、月でもみあげたいものだ。きみは今日、だれと月をみるだろう。月なんて、みないと良い。わたし以外とみあげる月なんて、つまらないに決まっているから。のたまわせて。

 

 

 

🌙 おやすみ、

 

 

 

 

 

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