高尚ぶる、

小説も書いてるから読んでね ピース

舌のさき

 

 

食べたくもないのに、こんな時間にクリームチーズケーキを食べている。柔くて、甘くて、溶ける。ひょっとして想像していたキスっていうのは、こういうものだったんじゃないかしら と思う。クリームチーズケーキと、キス。それよりも遠いところに居る、わたし。思い出すのは、どんな感触だろう。どんな顔だろう。どんな温度で側にいるきみだろう。よるはずんずん過ぎてゆく。もう触れない。冷えて固まってゆく。きみはわたしの手の感触すら忘れてしまっただろうか。ひとの手から吸う煙草、煙が前髪に絡み付く。忘れたろうか。一緒に見たあさは、枯れてしまっただろうか。美味しいもの、たくさん食べたら。いつか風船みたいに膨れて、弾けて消えてしまえるかな。小さなフォークに乗った、形の崩れたケーキを きみの口に突っ込む。実際は空を切っただけだ。もっと近付いて。ケーキは終わる。近付けない。雨はやまない。きみはわたしを、おもいだ(さ)(せ)ない。

 


「片思いって、ひとりでみる夢でしょ」「両思いは現実、片思いは非現実」「そこには深い川が」、ドラマのなかで男がぱきぱきと言葉を重ねてゆく。わたしは。わたしは。なにが見られるの。

 


クリームチーズが喉に残る。借りた本が、この部屋のすべてのひかりを吸収しては わたしを見下ろしている。久しぶりにベッドの灯りを付けると、いろんなことを思い出した。ひとに抱きしめられて眠ったのは もうずっとずっと、とおいことだった。もうあんなことがないのなら、わたしは。生きていても仕方がないなあ と思う。パズルのピースみたいに、みんなワンピースだけを求めて歩き回るのかと思っていたら、案外みんなスライムみたいに変容している。香水を零す。いつかきみがさわった手首。じくじく傷んで、いろが変わる。骨が固くて、やっぱり形は変わらない。

 


もっと近付いて、

 

 

@issu___i アンダーバーはみっつ

 


http://slib.net/a/24674/

 

https://estar.jp/users/572100282

 

↑ 小説を載せています

 

https://marshmallow-qa.com/issu___i?utm_medium=url_text&utm_source=promotion

 

↑ まってるよ おくってね