高尚ぶる、

小説も書いてるから読んでね ピース

マグマ・茶碗

 

 

 

茶碗が熱い。

すべての調理が面倒で、茶碗(耐熱)ごと電子レンジにぶち込んだわたしは、マグマのように熱いそれが持てなくて途方に暮れている最中だ。きみは、こんなもの軽々持てるのでしょうね。知らないけど。

高校のころ付き合っていたひとは、なんだか変わっていて。いつか、「お茶碗が熱くて持てなくって、叱られた」と半分泣きながら喋っていた。母親がこわい、とよく零していたのを覚えているけれど 隠しもせずにキスマークをそのままにしておいたり 門限を破って怒られるなら それは当たり前でしょう、と思う他なかった。わたしは冷たかったのだろうか。

彼女の母親に「あんたは自分に自信がなさすぎる!」と背中をバンバン叩かれたのを覚えている。

いつも、彼女の頭を「こわかったねえ」と撫でては。今にも潰れそうなカラオケボックスの汚れた壁をみつめていた。

車道側を歩かないと、不機嫌になっていた横顔を思い出す。面倒で、それでも笑うとかわいいひとだった。その顔も、もう殆ど忘れてしまったけれど。連絡も取っていない。一度だけ、去年の2月だろうか。馬鹿みたいに長い電車のなか 携帯が震えて、直ぐにその名前を拒否リストに入れたこと。貰った口紅は捨ててしまった。

一度好きになったひとを嫌いになるとき。ひとはとてもとても残酷になれるのだと思います。

ともだちになんて、戻れないよ。他人よりも遠くにいる。一度キスをしたら、手を繋いだら。もう元になんて戻れないのだ。ほんとうに、そう思う。

水に油を混ぜると分離するけれど、わたしたち。水でも油でも無かったでしょう。底のほうに、沈殿している。かき混ぜたらまた戻ってしまうだろうか。それがどうにも嫌で、耐えきれなくて。自分から陸に上がったこと。薄情だろうか。みずが滴る。きみ以外の通知をすべて切ってしまう。そんなことは出来ないけれど。

すっかり手に持てるくらいには冷めた茶碗は、薄く濁っていた。いま、大学3回生。あのころに出会ってもいなかったきみのことをよく考える。いつか、ここよりももっと遠くに行ってしまうの。茶碗の中身は美味しいだろうか。美味しいと、思えるだろうか。ひとりきりの部屋で。白く濁って、床に落ちている。

きみは誰かと混ざり合うのだろうか。

わたしはもう眠りたい。

 

 

 

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