高尚ぶる、

小説も書いてるから読んでね ピース

葉脈をなぞる

 

 

ライターの火は小さくて、ゆらゆらと揺れている。

クーラーの効きすぎたスーパーマーケットは冷たくて。 だいたいわたしはなにを買えばいいのか分からなくなってしまうよ。朝起きて、いちばんに目に入ったのは昨日のままに床に横たわっていた白米だった。5キロ。昨日、ぱらぱらと床にものを零しながら一瞬涙をながしたわたしは、それでも鞄のなかから文庫本を取り出して 大切に棚のうえに置いていたのでした。指で撫でてやりたくなるようなよるだった。会話を辿って指でなぞる。ひかるよるを越えて、またなんの変哲もないよるが来てしまったけれど。きみはだれのことを思いながら眠りに落ちるだろう。わたしのことだったら良いのに、と思いながら わたしは眠りに落ちようともがくのだった。

ドアを叩くような、物音が外からするだけでドアスコープを覗くようになった。好きな男がドアのまえに居るかもしれないと、そんなありえないのかありえるのか分からないことを考えてしまうからだった。だいたいなにも映っていない。音楽は流れっぱなしになっている。飲めないもしないのに買ったインスタントコーヒー。冷蔵庫のなかの肉とマスカット。実家でもそうそう食べなかった茗荷。ネギと、あとはなんだっけ。体重がどんどん減ってきていたから、なんとなく。夏だし。ちょうど良いような気がしていたの。世界から自分がどんどん減っていくのが面白かったけれど そうも言ってられなくなってきたので 暫く止めておくことにする。明日は美味しいものをつくろうと思う。自分でつくって、自分で食べて。それがどうしようもなく寂しいことのような気がしていたけれど。そんなことないのだろうな とやっと気が付く。夏はまだじりじりとにじり寄って来る。汗が背中を伝うたびに、なにを思い出せばいいだろう。

ベランダに干したシーツは白く大きく。汗だくになりながら 人生って、つめたくあたたかくですね。と口に出してみたりした。あたたかくっていうか、あついけれど。洗濯機のなか、白いシーツ、白い下着、白いタオル、白いスリップ。真っ青な液体洗剤をかけると、なんとなくわるいことをしている気分になった。朝は早いし、昼はゆっくりと過ぎてゆく。洗濯物はまわる。白はたまに汚したくなってしまう。

おやすみ、ときみだけに言えるよるが好き。分からないけど、ひとりじゃないような気がするから。おやすみもおはようも、ずっと嫌いだった。そうじゃなくなったのは、どうしてだと思う。

延命するチャーハン。この文章はどこに行き着くだろう。今日はどっちを向いて眠ろうか。きみはどこにいる。葉脈になりたい、と漠然と思った。きみが規則正しく寝息をたてられるよるであってほしいと思うよ。それでは。

 

 

 

 

 

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