延命チャーハン
米を炊くのを失敗した。こんなの初めてだった。失敗した白米は、芯が残っていて ぼそぼそして、美味しくなかった。どう考えても失敗だった。涙がでる。わたしも、たぶん炊飯器も この部屋のすべてがもう、参っていた。限界だったのかもしれない。
耐えられないみたいだ。ベッドの上に祈るみたいに積み上げていた本をすべて床に落とす。いまごろきみは誰の夢をみているだろう。耐えられない。見れば見るほどに、駄目になってゆく。みればみるほどに、わからなくなってゆく。どこを信じていたのか、なにが見えていたのか。ともだちなんて、夜中の吹き出しみっつで精算出来るものだったろうか。考えれば考えるほどに黒く千切れそうになるが、どうせもうこんなこと考えてもないでしょう。わたしはこの部屋のなかで、たぶんだけど生きていたほうが良いのだ。ビニル袋には穴を開ける。どこの部屋だろうか。電子レンジが鳴る音がした。そのままサラダ記念日を読む。『何してる? ねぇ今何を思ってる? 問いだけがある恋は亡骸』。
ぼそぼそした米は卵とかそういうものを入れて炒めた。死んでいる色だったが、それはわたしの眼がくすんでいるからだろう。出来上がって、湯気があがっているまま 食べると、全然美味しくなかった。ぜんぜん美味しくなくてよかった、と思った。失敗が成功のためにあるなんて、いまは思いたくない。怪我をして擦りむいた傷は、痕が消えずに残ればいいと思ってきた。
さみしいね、連絡を待つことも出来ない夜は。明けてほしいのか、明けてほしくないのか。わからない夜は。誰かを殴りたい夜は。その誰かが、明白にわかったとき。わたしはまだ耐えることが出来るだろうか。
チャーハンが不味い夜。タッパーに入れてインテリアにでもしてやろうか、とすら思う。
さしずめ、きみは失敗した白米だったのだ。わたしが白を汚した白米なのか。芯が残って、半端な米。床に落とした本を拾う。そう思いたいだけだ。失敗したのは、失敗した白米とは。たぶんきっと、わたしのこと。
この部屋のなかで、あなたに届く文章を書いているだけのわたしを。またみつけてくれるとうれしい。それでは。
@issu___i アンダーバーはみっつ
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リハビリみたいな文章になりました。
これからまた頑張ります。